Linux 2.0 ではメモリ上にファイルシステムを作る ramdisk やファイルをファ イルシステムとしてマウントする loopback ファイルシステムがサポートされ、 ファイルシステムをきわめて柔軟に使うことができるようになっています。 initrd はこの 2 つのメカニズムを組みあわせたようなもので、起動時にファ イルとして用意したファイルシステムを ramdisk 上に展開、そこを暫定的な ルートファイルシステムとしてカーネルを立ちあげ、必要な処理をしてから実 際のルートファイルシステムを再マウントする、という 2 段ロケット的なブー トを可能にします。
この機能を使って、initrd 上に pcmcia-cs を置いておけば、initrd で起動 した状態で PC カードを使用できるようになります。そして、ルートファイル システムを外付けの HDD や NFS サーバに置くと、内蔵 HDD には Linux パー ティションを置く必要はなくなり、Win95 のディスクの片隅に loadlin.ext とカーネルイメージ、圧縮した initrd ファイルを置いておくだけで Linux が使えるようになります。(FD に入れれば内蔵 HDD には一切ファイルを置く 必要がなくなります)
容量の問題で内蔵 HDD には Linux をインストールできない人や、Note PC で も複数のディストリビューション(Slackware, Red Hat, Debian)を切り替えて 使ってみたい人には便利な機能でしょう。試していませんが MO や PD といっ たメディアをルートパーティションにして起動することも(動きはすごく遅く なるでしょうが)できるはずです。
ただし、外付け SCSI HDD や NFS ディレクトリをルートパーティションにし た場合、当然のことですが使用中に PC カードを抜くことはできませんので、 note PC の命である可搬性は大きく損なわれます。